すべてはお客さんを喜ばせたいという思いから ~「木材のしんわ」代表と「松山青年会議所」会員の二刀流で~

伊予市の人々

岡田 新一郎(おかだ しんいちろう)【木材のしんわ 代表取締役】

経歴

伊予市出身。2021年4月、木材の販売から住宅設備、外壁工事まで行う「木材のしんわ」代表となる。松山青年会議所地域活性推進委員会副委員長としても活躍し、地元伊予市の活性化に取り組んでいる。

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※2022年5月に取材、執筆した際の情報です。


木材のしんわ

「木材のしんわ」について

-「木材のしんわ」では、どのような事業を行っているんですか?

主に、「木材の販売・プレカット事業」、「住宅設備・新建材の販売」、「外壁工事」、「銘木・一枚板の販売」をしています。

-「木材のしんわ」の経営をすることになった経緯は何ですか?

実は初めからこの仕事をしていたわけではないんです。大阪の大学を卒業後、伊予市でIT系の会社に就職し、法人に携帯電話などを売る営業の仕事をしていました。数年この業務をして、次にアプリの開発に携わりました。そこでものを作ることの楽しさに気づいたんです。次第に誰かが作ったものではなく、自分で作ったものをお客さんに提供したいと考えるようになりました。父が木材を取り扱う会社をしていたので、2015年9月に転職し、6年後に代表となりました。

-携帯電話から木材へと扱うものが変わって、何かご苦労はありましたか?

前の会社で商品の売り方をきっちり教えてもらっていたので、苦労という苦労は特にありませんでした。売るものが変わっただけ。取り扱う商材自体よりも、お客さんがどうすれば買ってくれるのかを考えることに面白さを感じていました。

―前の仕事でも今の仕事でも、面白さは変わらず感じていたんですか?

そうです。「商品を買ってください」と言われても、商品自体に魅力を感じなければやっぱりみんな買わないじゃないですか。だから商品を出す前に、今お客さんや事業所は何に困っているんだろうと考えるようになって、それからやっと商品が売れるようになりました。そのとき面白さを感じてきましたね。

木材の仕事でも一緒です。「お客さんはこれだけの量を注文しているけど本当はもっと多いほうがいいんじゃないか」、「今これぐらい家が建ってきているから、そろそろこれがいるのではないか」などと先を見越してお客さんに相談しています。決まった仕事だけをしていては、他の会社とあまり変わりません。お客さんは価格が安いほうにどんどん流れてしまいます。だからこそ、プラスでどうすればお客さんが喜んでくれるか考えることに面白さを感じています。

-「木材のしんわ」のYouTubeチャンネルを拝見すると、伊予稲荷神社の改修の様子を撮影した動画が投稿されていました。神社など、文化財の改修にも携わっているんですか?

お寺や神社など、伊予市の文化財の改修にはだいたい関わっています。特にお寺や神社は改修方法や部材などが特殊です。また、最近はTHE日本という感じの家を建てることが少なくなってきています。そのため、歴史ある建物の改修や建築の機会はとても貴重で、携わる大工さんも少ないです。

岡田さんが考える、木材の可能性とは何ですか?

現在、全国的に住宅の着工数が減ってきているのですが、理由は分かりますか?少子高齢化が一番大きい影響です。その中で今、「非住宅」と呼ばれる、学校やグループホームなどの公共施設の床や壁に木を多く取り入れる、「木質化」が進んできています。この「木質化」が今後もどんどん進んでいくのではないかというのが一つです。

そしてもう一つが、「脱炭素」です。木は光合成により、大気中のCO₂を吸収し酸素を排出します。このとき取り込んだC、つまり炭素を木の中に閉じ込めたままにできるため、木材を使った建設は「脱炭素」につながるんです。

岡田さん

「松山青年会議所」について

-「松山青年会議所」とはどんな団体ですか?

商工業の改善・発展を目的として集まり、地域を盛り上げようと活動している団体です。僕たちの活動地域は「まつやま」です。「まつやま」とは、松山市が交易連携を結ぶ松山市、東温市、伊予市、松前町、砥部町、久万高原町を指しています。

「松山青年会議所」の魅力は何ですか?

青年会議所は上下関係がフラットで、みんなと友達のような感覚で話せるところが魅力です。メンバーの中には弊社のお客さんがいます。買う側と買ってもらう側で上下関係ができないところがよいですね。所属する会社も多様で、本来なら話す機会がないような人ともフラットな関係性で話すことができます。

―「松山青年会議所」に入ろうと思った理由は何ですか?

外との交流をしたいと思ったことが1番の理由です。建設の業界はどちらかというと閉鎖的なんですが、僕は逆に、外にどんどん出ていろんな業界の人と絡んでいきたいタイプなので入りました。

―大学卒業後は伊予市に戻り就職し、伊予市を含むまつやま地域を盛り上げようと青年会議所に入ったということで、地元伊予市への思いも強かったんですね。

外に出てみて分かったんですが、やっぱり伊予市や松山市は本当に住みやすいです。僕は大阪のまあまあ治安の悪い地域に住んでいて怖かったので、それを考えると伊予市は本当に平和ですね(笑)。移動も車一つあれば済みますし、楽です。

あとはご飯がおいしくて。これも外に出て分かったんですが、スーパーで普通に売られている魚は、都会の料亭に出る魚と変わらないぐらいおいしいです。

そしてなんといっても地元が好きだったんです。伊予市が好きで戻ってきました。

今後について

―今後やってみたいことや、大きな野望はありますか?

仕事で行くのか、何かの活動で行くのか分かりませんが、海外に出てみたいです。外の世界を知る大切さに気づいたきっかけが、伊予市を出て大阪に行った経験でした。大阪に行ってから見る愛媛県、伊予市はまったく見え方が変わっていました。世界に出てから見る日本、愛媛県、伊予市はどうみえるんだろう、という思いがあります。それに加えて、何か海外で商売ができたらいいなと考えています。

お話をされる岡田さん

インタビューを終えて:

岡田さんは、所々にユーモアを交えてお話ししてくださいました。はじめは面白い方なんだなと思っていたのですが、実は仕事に対してとっても熱いビジネスマンだと知りました。ギャップがかっこよかったです。特に、前の仕事から今の仕事まで貫いてきた、お客さんを喜ばせたいというサービス精神、外に出て新しい世界を知りたいというチャレンジ精神をお話の中で強く感じました。岡田さんの熱い語りにどんどん引き込まれ、私自身とても刺激を受けました。

ライター:愛媛大学 社会共創学部 地域資源マネジメント学科 文化資源マネジメントコース 1回生 Y.K

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