本と人をつなぎ、伊予市を「本の街」にしたい!「いよ本プロジェクト」代表の、静かでアツい想い

岡田有利子(おかだゆりこ)【いよ本プロジェクト 代表】

伊予市立図書館での司書としての勤務の後、2019年1月に「いよ本プロジェクト」をはじめる。「交流会」の開催、「古本交換会」イベントの実施、私設図書館「ビブリオAA」の運営など、活動の幅は多岐にわたる。

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「いよ本プロジェクト」について

-いよ本プロジェクトでは、具体的にどんな活動をされていますか?

いよ本プロジェクトの活動は主に3つあります。ひとつづつご紹介させてくださいね。

ひとつめの活動は、月に1回程度メンバーが集まる「交流会」です。2019年1月からはじめて、もうすぐ2年になりますね。交流会の第1部では各自が持ち寄ったおすすめ本の紹介をしあい、第2部では本にまつわるミニ講演やワークショップを行います。本をキーワードに、楽しい時間を過ごすための活動を展開中です。

-交流会にはどんな方が参加されていますか?

伊予市の人、それ以外の人が半々くらいですね。予想以上に市外から来てくださる方が多いんですよ。参加者の年齢層はバラバラで、70代の方から小学生までいらっしゃいます。最近は10~15名の参加が多いですが、30名弱が参加してくれた会もあります。

-本当に幅広い!多様な集まりですね。交流会に持ち寄る本のテーマはどのように決めているんですか?

交流会参加者にアンケートを取ったり、お声を聞いたりしています。「こういうテーマがいい!」とおもしろいアイデアがたくさん出てくるので、一つひとつ形にして実現させてきました。今まではたとえば「不思議な本」「旅の本」「あなたのこれからを考える本(未読本OK)」のようなテーマがありました。テーマに沿った本を各自が持ち寄って交流します。

-本格的ですね。はじめてでも参加しやすいですか?

はじめての方でも大歓迎なので、ぜひ飛び込んできてください!語ることが苦手な方は聞くだけでも大丈夫です。コミックや雑誌など、幅広いジャンルの本が紹介されています。

また、「交流会」よりさらに気軽に参加できるのが、2つめの活動の軸「古本交換会」ですね。

「手作り交流市場・町家」にて、月一で開催しているイベントです。読み終わった本を持参して、お好きな古本と交換していただけます。交換がメインですが、1冊100円で販売もしています。今まで知らなかった本との偶然の出逢いで、あなたも「本のわらしべ長者」になれるかもしれませんよ。

-このイベントはもともと古本市=販売からスタートしたんですよね。「古本交換会」に変化したのはなぜですか?

全国で行われている古本交換イベントを知り、「交流会」の方で本の交換イベントを試しに実施してみたのがきっかけです。自宅にある不要な本を数冊持ち寄り、トランプの手札のように1冊につき1冊を交換しましょう、というルールでした。自分にとっては役目を終えた本でも、他の人の元では役に立つ点がいいなと思いました。

そういうわけで、古本市を古本交換会へ変えてみました。すると、不思議なことに古本の売り上げもアップしたんですよね。「販売」ではなく「交換」を謳うことで、興味を持ってもらいやすくなったのかもしれません。古本交換会で手に入れた本を翌月にはまた別の本へ交換しに来る、常連さんもできました。

オープンな場で開催しているので、「手作り交流市場・町家」に買い物に来た人も立ち寄ってくれます。目の前に並んだ本を見て、何気なく本の話題が生まれて楽しいです。

最近ではテレビに取り上げられた影響もあり、参加してくださる方が増えて嬉しいです。

-「交流会」と「古本交換会」2つの特徴ある活動が裏でリンクしているのは興味深いですね。3つめの活動についても教えていただけますか。

3つめは私設図書館「Biblio.AA(ビブリオAA)」の運営です。もともと建築設計をされている方のアトリエを活用し、いよ本プロジェクトの活動拠点にしています。基本的に、毎週水曜日の14時から19時までを開館日とし、ホームページでご案内しています。

現在は新型コロナウイルス感染症対策のため、予約制でお越しいただいています。通常の開館日以外でも、興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。調整して開館しています。

-「Biblio.AA」にはどんな本がありますか?

もともと建築士の方が使っていた事務所だったので、建築書がたくさんあります。また、図書館やまちライブラリー、本に関する本、あとは愛媛や伊予市にまつわる本、寄贈していただいた本など。絵本もたくさん置いています。「交流会」で話題になった本もコーナーに展示していますよ。

いよ本プロジェクトへの想い

-岡田さんにとって、いよ本プロジェクトはどんな存在ですか?

私の図書館司書としての経験や想いがベースにあります。人に本を紹介して喜んでもらえた経験は大きいです。本との出会いがあり、本を通して人と人の繋がりが生まれていくとうれしいですね。いよ本プロジェクトの活動自体がそんな「図書館」のような「場」でありたいと考えています。

図書館って「人に寄り添い、人が自ら動くのを待てる場所」だと思うんです。家でもなく、学校でも職場でもない。あなたのペースであなたの可能性を広げることができる場所です。私は本が好きで、この活動をしています。それにより結果的に地域の人を応援できるといいですね。伊予市が「本の街」になるといいなと思っています。

伊予市で子育てをする中で、いろいろな人に親切にしてもらえたんですよね。子どもがまだ小さいころ、家族の仕事の都合で久万高原町から伊予市に引っ越してきました。まだ知り合いがいない私を、近所の人が助けてくれました。子育てがひと段落した今、次は私のやりたいことが地域の人の役に立てばうれしいですね。

-これからの活動のビジョンはありますか?

今までは多方面に手を広げてきましたが、今後は今までの活動一つひとつをさらに深めていきたいですね。いよ本プロジェクトの活動をはじめて約2年が経ち、いろんなアイデアを形にしてきました。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか人と人が集まれない状況にあります。とはいえ、今までの活動が無駄になるわけではありません。私自身のやりたいことを突き詰めていき、結果として地域貢献にも繋がればいいなと思っています。

-本日は、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

インタビューを終えて:

岡田さんのお話を伺っていると、「〇〇をしたい。」ではなく「〇〇になるといいな、うれしいな。」という表現が多く出てくることに気づきました。この表現の違いは、岡田さんから発する「自然体」で「しなやかな」雰囲気のひみつなのかもしれません。傍から見ると、どんどんやりたことを実現されているように見える岡田さん。でも、ご自身は好きなことを自由に突き詰めているだけ。結果として周囲によい影響をもたらしている流れが素敵だなと思いました。