上田沙耶(うえださや)【ふたみ地域おこし協力隊】
経歴
2020年春、だいすきな伊予市双海町へ念願のIターン。地域おこし協力隊と青山学院大学学生の二足の草鞋を履く。
※2020年9月に取材、執筆した際の情報です。
双海とのゆかりと移住について
-双海に移住して何十回と聞かれていると思うので恐縮ですが、双海とのゆかりについておしえてください。
双海町上灘に祖父母の家があります。私が小さな頃は毎年、両親に連れられて帰省していました。いとこや親せきと一緒に大人数で食事するのが本当に幸せでした。祖母の作る鯛めしは日本一だと思っているんですよ。あとはいとこたちと花火をしたり、祖父母が営む商店を手伝ったり。田舎暮らしを満喫していました。
-幼少期の楽しい思い出が原点だったんですね。
はい。しかし時が経つにつれ、恒例だった帰省に変化が出てきました。帰省してもいとこは県外に出ていて双海にいないんですよね。両親も毎回は帰らなくなり、大学生になってからは私一人で帰省していました。周りの人が少なくなって寂しかったですね。
-それでも一人で双海を訪れていたんですね!移住のきっかけも大学時代にあったんですか?
そうなんです。私自身も就職を考える時期でした。祖父からは「せっかく東京の大学に行ったんだから、東京で就職しなさい。」と言われていました。企業に就職することも考えてみましたが、なんか違うなと思って。将来のこと、自分のやりたいことを真剣に考えたとき、私の中ですべてが「双海という地域をよくしたい」に繋がっていました。むしろ、それ以外にやりたいことが思いつかない。
だから「地域おこし協力隊」を手段として選んで、双海にやってきました。
-現在、現役大学生であり、地域おこし協力隊の肩書をお持ちですよね。2つの役割の両立は大変ですか?
学生と仕事の両立はもちろん大変ですね。仕事の合間にオンラインで授業を受けています。
休学して「地域おこし協力隊」の仕事に専念することも考えましたが、私自身やりたいことが明確に決まっているので、早く夢に向かって進みたかったんです。休学するのはモヤモヤの期間が長くなるだけかなって。

上田さんの夢について
-双海に移住してきた今、上田さんが向かっている夢はなんですか?
ざっくり言うと「双海で楽しく生きていきたい!」というのが夢です。
大学2年生からずっと、双海でゲストハウスをはじめたいと考えています。双海は下灘駅が全国的に有名ですが、現状では下灘駅だけに観光客が集まっています。でも、もっともっと双海には魅力が詰まっているんです。ゲストハウスを拠点として地域全体の魅力を県外の方へ伝えて、今まで以上に双海を知っていただく取り組みがしたいですね。双海にずっと残していきたいよいものを大事にして、発信していければと思っています。
-上田さんのこれからの活動が楽しみですね。
実はゲストハウス経営について、祖父からは反対されているんです。双海に来ると伝えたときも「せっかく東京の大学に行ったのだから、わざわざ帰ってこず東京で仕事をしてほしい。」と。私のことを思って言ってくれているのは理解しているのですが、よくケンカしていました。
-今もずっと反対されているんですか?
私が双海に来ていろいろ活動していくうちに、今はあきらめたのか何も言ってこないですね。祖父に応援してもらうには、私のこれからの頑張り次第だと思っています。これからもっといろんなことを経験して勉強し、実力をつけたうえで事業計画をしっかり伝えて納得してもらいたいです。
双海での新たな活動について
-上田さんが今から双海で行いたい、または行っている具体的な活動を教えてください。
いろいろあるのですが、2つ紹介します。
1つめは「ポパイ復活プロジェクト」。
祖父母が営む「レストラン喫茶ポパイ」がJR上灘駅前にあります。創業40年ほどの歴史あるお店です。しかし現在は、ほぼ休業状態。せっかく駅前の利便性のよい立地なのにもったいないと思い、企画しました。
1日だけ限定でポパイのモーニングの提供サービスを行ったんです。SNSで告知して集客し、当日は祖母や叔母も手伝ってくれて大盛況で終えることができました。今後の活動は今のところ未定ですが、先代から受け継いだ味やお店の風景を残していきたいですね。
※プロジェクトの詳細は、ぜひ上田さんのブログをご覧ください。
-レトロな雰囲気の喫茶店ポパイは双海の雰囲気がマッチしますね。次の新しいプロジェクトにも期待しています!
2つ目は「双海に蔦〇書店のような空間を創ろうプロジェクト」。
上灘地区に、双海の元町長が営む店舗「上田稔商店(上田屋)」がありました。昔は文房具屋や学習塾をやっていたそうです。
このスペースを、本を読んだりパソコン作業をしたりできる場所に生まれ変わらせたいんです。
まだ遊ぶ場所にするか仕事や勉強する場所にするか未定ですが、みんなで知恵を出し合ってクリエイティブになれるスペースを作っていきたいと考えています。Jazzを流したり、イケている本をたくさん揃えたり。そして照明やインテリアに凝りたいですね。
また、大人や子どもが気軽に集えて、自分のことをしながらおしゃべりできるような憩いの場にしたいです。最近では外で遊ぶ子どもたちをあまり見かけなくなったじゃないですか。外で遊ぶ「場」があって、人と交流する「場」を提供したいなと。ときには集まった人たちで双海への想いを熱く語りあうのもいいかも。また今後は、映画上映会も予定しています。
-双海での生活がより楽しくなりそうなスポットですね。新しいイベントや企画も生まれそうな予感がします。今回はインタビューに応えていただきありがとうございました!

インタビューを終えて:
非常に元気で前向きな上田さん。最後に話してくれた「上田屋プロジェクト」の準備で本日も地元の方と協力してスペースの片づけを行っていました。「双海が好き、双海をもっとよくしたい!」というピュアな想いが双海の人たちへ伝わり、上田さんの周りにはたくさんの協力者がいるのだと感じました。新たな楽しいことが起こりそうな予感がするので、これからも上田さんの活動を追いかけていきたいです。