小笠原豊(おがさわらゆたか)【CBR@さもんず//入口は裏側】
経歴
店主。2020年6月、愛媛県伊予市米湊に倉庫をリノベーションした店舗をオープンさせた。店舗ではランチ、カフェ、居酒屋メニューの他、家族やグループで利用できる各種プラン、イベントを用意している。伊予市のコミュニティスペースとして、さらに新しい企画を検討中。
伊予市でお店をはじめたきっかけ
-小笠原さんは松山で飲食店を経営されていたんですよね。どんなお店をだったんですか?
はい、約4年間経営していました。自分がほしいと思っていたお店を作れたと思っています。具体的には「お酒が飲める人も飲めない人も楽しめるバー」ですね。お酒が飲めない人向けのメニューを充実させたり、お店主催のイベントでお客様のつながりを作ったり。このようなコンセプトのお店は松山にはなくて、他店舗と差別化が図れて成功しました。
-店舗の移転を決めたのはなぜですか?
移転の理由はいくつかあります。思い切る直接のきっかけは、新型コロナウイルスの影響ですね。お客さんが減ってしまったのを機に、郊外への移転を検討しはじめました。松山のお店では自分がやりたかったことをやり切った、区切りの時期でもありました。
もともと、さらに新しい取り組みを始めたいと思っていたんです。それには松山のお店では手狭でしたし、今までとは違う客層のお客様とも出会いたかった。
-松山市郊外の中で、伊予市に決めた理由はありますか?
単純に地元であること。そして、伊予市には飲食店が少ないことが大きな理由です。若い経営者がやるお店が少なくて、休みが多かったり営業時間が短かったりするため、チャンスがあると思いました。
新天地での新しい取り組み
-先ほど言われていた「新しい取り組み」はもうはじめていますか?
はい。伊予市で「ごはんを食べる以外の活動の場所」を作りたいんです。もちろんランチタイム、カフェタイム、居酒屋として利用していただきたいです。でも、それだけがメインではないお店にしたいと思っています。
今始めている取り組みは、たとえば「異業種交流会」。お店の常連さんに声をかけて、月1回知らない人と交流を深めるイベントをやっています。常連さんが知り合いを連れてきてくるきっかけにもなりますし、常連さん同士が仲良くなって、お店でやってほしい企画を一緒に提案してくれることもあるんですよ。

他にもお店の場所を貸して「そろばん教室」や「英会話教室」、「ミニ四駆レース」「ゲーム大会」「マッサージ」などもやっています。だから「何をやっているお店かわからない!」ってお客さんにはよく言われますね、笑。あえて言うなら、飲食店兼フリースペースかコミュニティスペースでしょうか。
飲食店がメインになると、当然ながらご飯を食べて帰るだけじゃないですか。当店ではそうではなくて、飲食はあくまでもおまけ。でもこだわりがあって、老若男女問わず満足してもらえるようフードコートのように多岐にわたるメニューをそろえています。ホットサンド、プリン、カツカレー、うな重、しゃぶしゃぶを同時に注文できるお店は少ないでしょう!
-ほんと、飲食店の常識にとらわれないユニークなおみせですね!
食べたり飲んだりしながら、お客様の活動拠点として利用してもらえるといいかなと思っています。実際、当店でSNS運用セミナーをお客様が企画したり、趣味のカメラを知り合いに教える場として活用してもらったり、おもしろい動きが出てきています。お客様がお店を作り育ててくれている感覚ですね。なので、可能な限りお客様の要望に応えられるお店でありたいと思っています。ないものまで作れるお店って最強じゃないですか。
-ないものを作った事例ってなにかありますか?
お客様が「ハモ鍋」が食べたいと!双海の「上灘水産」で新鮮なハモが仕入れられるんです。「このあたりはハモの産地なのに、地元の人がハモ料理を楽しめるお店がない。さもんずで提供できたら流行るのでは?」と提案してくれました。そこで、さっそく愛車のバイクに乗って「上灘水産」でハモを仕入れてきたんですよ。正直、最初はピンと来ていなかったのですが、食べてみてびっくり。プリプリの身とハモの出汁が本当においしいんです。ハモの時期は11月末くらいまでなので、期間限定でハモ鍋プランを作ったら大好評。たくさん予約が入りました!
-お客様からの提案ですぐに新メニューを作る行動力がすごいです!しかも、お店の繁盛につながっているのは理想的ですね。

-小笠原さんがこれから目指す方向性は決まっていますか?
大きくいうと「伊予市の台風」になりたいですね!伊予市って保守的な部分がまだまだあると思うんです。お堅い風習や守りに入っている部分など。壊すべき部分は壊して、伊予市を活性化させていきたいです。伊予市の規模なら自分にもできると思っています。
お店の方針としては、今まで以上に新しいものを取り入れていきたいです。本日もお話ししましたが、飲食店だけでないところが当店の強みです。東京や大阪からではなく、さもんず発信・伊予市発信で新しい流行を作りたいと思っています。

インタビューを終えて:
お話していても新しいお店の展望や企画がどんどん溢れてくる小笠原さん。明るく精力的な姿勢に魅かれたお客さんがお店に集まるのだろうなと思いました。確かに伊予市には、夕方以降に気軽に立ち寄れる飲食店が少ないです。「地元伊予市に帰ってきてくれてありがとう!」という気持ちで、今後もさもんずさんを利用しようと思いました。